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在留資格特定技能 スタート半年 現場は“様子見”



在留資格特定技能 スタート半年 現場は“様子見”

カボチャ畑で実習生と共に収穫作業に励む高橋さん(右)。特定技能への移行は「情報収集中」だ(北海道和寒町で)

 外国人労働者の受け入れを拡大する新しい在留資格「特定技能」がスタートして半年たった9月末現在で、特定技能の資格を持つ在留外国人は221人だったことが出入国在留管理庁の調べで分かった。うち農業分野は31人で、3カ月前の2人から大幅に増えた。農家や外国人技能実習生は新資格に期待する一方、「受け入れの広がりを見極めたい」などと慎重な見方も示している。

農業取得31人

 特定技能は、改正出入国管理法(入管法)に基づいて今年4月から始まった。政府は5年間の累計として、農業分野で最大3万6500人の受け入れを想定し、受け入れ元の直接雇用に加え、派遣形態での雇用も認める。

 外国人が農業で特定技能の資格を得るには、耕種か畜産での農業技能測定試験、日本語能力の試験を受ける必要がある。技能試験は全国農業会議所が実施主体となり、年内にアジア各国で行う予定。3年間の技能実習修了者は試験が免除される。資格を得た外国人は、通算5年を上限に日本国内で働くことができる。

 新資格が始まり半年の9月末時点で、特定技能の資格を得て日本に在留する外国人は221人で、6月末までの3カ月間(20人)に比べて10倍以上、増えた。農業分野は、6月末時点で、ネギやレタスなど露地野菜を栽培する大阪府岸和田市の農業法人「GFF」で働くカンボジアの2人だったが、9月末時点では31人になった。出入国在留管理庁は特定技能に関する詳細について、10月末に公表する予定だ。

「すぐ」は困難 北海道の畑作農家

 北海道和寒町。カボチャやビート、麦、キャベツなどを輪作で40ヘクタール栽培する高橋強志さん(53)は、ベトナムの技能実習生に作業を丁寧に指導する。実習生たちは、日本で特定技能という新しい在留資格が創設され、技能実習後でも長期間働けることを「何となく」知っている。実習1年目のブーチュオン・アンさん(20)は「実習が終わっても、できれば日本に残って農業で働きたい。稼ぐために」と明かす。

 高橋さんは「特定技能には農家として興味もある。ただ、まだ受け入れている農家は少ないし、実習生たちの日本語の状況を踏まえても、すぐに特定技能にすることは難しい」と考える。現在、特定技能に関する情報を収集中だ。

 30歳でUターンし大規模化を進めてきた高橋さん。規模を拡大すればするほど休みがなくなり人手も必要となり、15年前から実習生を受け入れてきた。人手不足は最近特に痛感しており、今後も実習生や特定技能の資格を持つ外国人を受け入れていきたい考えだ。高橋さんは「実習制度で特段の問題があるわけではない。今後の特定技能の広がりを踏まえる」と“様子見”状況だ。

手続き煩雑

 入管法改正の議論は、2018年2月から本格化し、同年12月には国会で成立。その4カ月後の19年4月には施行と、異例のスピードで始まり、政府は農業では初年度、最大7300人の外国人が雇用される可能性があるとしていた。

 ただ、現場では「技能実習生の任期の切れ目に
特定技能に移行させたいという人はいるが、4月に始まった特定技能への希望が現状で押し寄せているわけではない」(北海道庁)という状況だ。千葉県旭市の農家も「特定技能はまだ考えていない。増えてから考える」と慎重だ。

 一方で、申請書類の手続きの煩雑さや、出入国の許認可が滞っていることなどを指摘する声も出ている。

 宮崎県小林市に本社を置く四位農園は受け入れる実習生1人を特定技能に移行しようと関係機関に申請中だ。書類準備にはかなり苦労し、分厚い書類となった。四位農園は「人手不足で苦労しているので、できるだけ速やかに対応してほしい。一度帰国してしまうと手続きが大変なので、日本にいる間に実習生の資格を変更したい」と求めている。

 外国人の受け入れに詳しい
早稲田大学堀口健治名誉教授は「特定技能は“ドタバタ”して制度設計した感があるが、半年で急増する状況にはない。ただ、今後は実習を終了後に特定技能に資格変更する外国人が増えていく」と見通している。


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