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TOP人的資源(HR)の国際化が遅れる日本に喝!

人的資源(HR)の国際化が遅れる日本に喝!



人的資源(HR)の国際化が遅れる日本に喝!

(TAGSTOCK1/gettyimages)

 日本に居住する外国人は約273万人。そして、外国人労働者の数は146万人(10月末)と、過去最高を更新している。国籍別では、中国約39万人(26.6%)、ベトナム約32万人(21.7%)、フィリピン約16万人(11.2%)となっており、対前年伸び率でみると、ベトナム(31.9%)、インドネシア(21.7%)、ネパール(18.0%)が高くなっている。

 在留資格では日本人配偶者等の「身分に基づく」が約50万、技能実習が31万、留学が約30万と、相変わらず、本来「就業」することが目的ではない人が過半を占めている。要するに、日本で働く外国人労働者が人手不足の穴埋めにされているということだ。

人的資源(HR)の国際化が遅れる日本に喝!

『会社成長のカギは外国人材の活躍だ!』(グローバル人材キャリア支援協会編、双葉社)

 そんなことでは「ダメだ!」と、警鐘を鳴らすのが、人材派遣・教育を行うワンストップイノベーションHR(東京都中央区)の大内卓社長(41歳)だ。日本語N1資格を持つ中国、台湾人の学生(留学生)を正社員として採用し、日本のビジネスマナーなどを学んでもらい百貨店、ブランドショップなどに接客対応として派遣している。

 「外国人人材を、人手不足の穴埋めとして扱っていてはダメです。彼らを新しい付加価値を作り出すリソースとして考えるべきです。そう考えていたときに、出会ったのがこの本でした」

人的資源(HR)の国際化が遅れる日本に喝!

大内さん

 この本とは『会社成長のカギは外国人材の活躍だ!』(グローバル人材キャリア支援協会編、双葉社)。まとめ役になったのが、井上英也氏(長崎国際大学教授)。井上氏は、日本ロレアルの副社長をはじめ、外資系企業で人事担当を長年務めてきた人物。

 大内さんは「外国人人材に関する実務的な本がないと思っていたので、自社の外国人材の活用事例が参考になれば」と、本の企画に協力した。本書では、各企業の実体験を元に、どのように外国人材を「活かす」かが、まとめられている。

 大内さん自身、外国人材の活用では失敗した経験を持つ。前職で、上海においてジェラート屋さんを立ち上げ、運営するという経験をした。当初は、中国人スタッフに対してマイナスのイメージを持っており、「日本式のマネジメント(報告・連絡・相談、相手の言外にある意図までくみとって仕事をするなど)を徹底しなければならない」と思い込んでいたという。

 しかし、実際は大内さんの思い通りには動いてくれなかった。例えば「ジェラートのショーケースのガラスを拭いてください」と指示を出した。ここには、言外に「雑菌予防、商品の見栄えを良くする」といった意図が込められている。

ところが、中国人スタッフは、おざなりに拭くだけ、という対応だった。「きれいに拭いてください」と、あらためて指示を出すと、腑に落ちていない様子だった。困った大内さんは、管理者として中国人材を採用し、現場のマネジメントを任せた。そうすると、スタッフは、当初の意図通りに動いてくれるようになったという。

 聞いてみると原因は簡単で、新しい中国人管理者は、「ガラスを拭く意図(意味)」と「その手順」、そして「拭いた後の良い状態、悪い状態」を明確に写真等で示していただけだった。

 この経験から大内さんは「外国人材と働くときには、誰が見ても、仕事の良い・悪いがわかる状態を示し、自分(日本)の当たり前を捨てなければならない」と、自覚したという。

 だからこそ、「外国人が同僚になる、その瞬間に読んでほしい本です」と話す。ただ、いくら内向き志向の日本企業とはいえ、もう何十年も前から海外に進出し、少ならかず外国人材と共に働いている。こんな簡単なことに気づかないものなのだろうか?

 「例えば、同じ企業でも海外経験があるかないかというところで、外国人材との付き合い方は大きく異なりますし、その経験が横展開されているかといえば、必ずしもそうではありません。そもそも、実際に体験したことがない人に情報を共有しようとしても、それ自体が難しいという問題もあります」

 そうした点でも、本書にあるような事例紹介を事前に読んでおくことで、外国人材と働く場合にどんなところがボトルネックになるのか、大まかに想像することができる。

いつの間にか『あうんの呼吸』でやっていくことが当たり前に

 さて、気になるのは、特に中国人や韓国人など、日本と政治・歴史などで問題を抱えている国の人たちとは、実際どのようなコミュニケーションをとればいいのだろうか。

 「基本的に政治問題については、話をしなくて大丈夫です。こと中国人、40代くらいまでの人は、政治に対してドライです。文化という意味では、なんで着物があるのか? 日本の食習慣など、日本人でも知っているようで知らない文化について話すと喜ばれます。われわれも、小中高と学校教育のなかで日本文化について教えてもらっていますが、大人になるにつれて、忘れてしまいます。そして、大学時代、就職してからも日本人同士でしか付き合わないから、いつの間にか『あうんの呼吸』でやっていくことが当たり前になってしまいます」

 このところ、中小企業においても将来の海外進出を想定して、外国人留学生を採用する会社も出てきたが、「語学ができるだけで採用すると、後で禍根を残すことになる」と大内さんは指摘する。日本人の採用であれば、きちんとした基準の元に合否を決めるにもかかわらず、外国人となると、その基準が曖昧になる会社があるという。

 実際、大内さんは採用の際に「接客業なので一日中立ち仕事になることや、ワンストップイノベーションでの採用を踏み台にして、派遣先で直雇用されるほど評価されたほうが将来が開けること」などを話しているという。業務内容や、キャリアプランを事前にしっかりと説明しておくということだ。

 最初にも書いたとおり、現在の日本では、技能実習生や留学生など、人手不足の穴埋めとして使っている。しかし「せっかく日本にきて、時には借金までして、学校に入って、就職なしでは、『日本は嫌な国』となってしまいます」と大内さん。外国人材を都合よく使うだけではダメだということだ。むしろ、そのしっぺ返しは、日本に返ってくる。

 「現在、十分とは言えませんが、外国人への教育は行われています。でも、日本人が外国人材との接し方について学ぶ機会はほとんどありませんし、そもそも学ぶことの必要性も認識していません。努力しなければならないのは、我々日本人も同じなのです。意識の変革も必要です。いまだに『外国人って安くないんですか?』と、人件費の事ばかり聞いてくる企業の人事担当者もいますが、同一労働同一賃金は、日本人でも外国人でも同じです。国際化が進むなかで、外国人材を日本国内において取り入れて新しい付加価値を作ることができなければ、国際競争力を維持することはできません」

 最後に、大内さんはこう付け加えてくれた。

 「働く外国人にも日本企業が選別・選択されているということを、我々一人一人が忘れてはならないと思います!」


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